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マンディブル 2人の男と巨大なハエのakrutmのレビュー・感想・評価

4.0
ちょっと間抜けな二人の男性が、盗んだ車のトランクにいた大きなハエで金儲けをしようと試みる姿を描いた、カンタン・デュピュー監督のコメディ映画。

虫類が大嫌いな自分にとって大きなハエが出てくると聞いただけで身体がゾワゾワしそうで見るかどうか迷っていたが、カンタン・デュピュー監督ということでそんなグロテスクなハエは出てこないだろうという楽観的に考えて、万が一気持ち悪かったら見るのをやめようと思って見始めたが、そのくだらなさに引き込まれて最後まで一気に見てしまった。パステル調のファンタジー的な映像と個性的な登場人物たちが繰り広げるシュールなコメディという相性の悪そうな素材が見事に融合している点は、さすがカンタン・デュピュー!と言えるだろう。映画が進むにつれて、だんだんとハエが可愛く見えてしまうのが不思議。

主人公の二人の男性(+ハエのドミニク)の抜けさ加減がちょうど愛らしくて、おバカ映画としても秀逸。二人を演じたダヴィ・マルセとグレゴワール・ルディッグは Palmashow というお笑いコンビで活躍しているだけあって、息もピッタリ。フィリップ・ラショーたちの La Bande à Fifi 作品ほどのコテコテさやお下品さもないので、万人におすすめできるだろう。もうひとつの注目は、事故のせいで叫ぶようにしか喋れなくなったというキャラの女性を演じているアデル・エグザルコプロス。こんな変人を演じている彼女もなかなかいい。このキャラはあの環境活動家のグレタ・トゥーンベリに着想を得ているそうだが、そんなことを大っぴらに言うカンタン・デュピュー監督もいとおかし。
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