シネラー

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲のシネラーのレビュー・感想・評価

5.0
一本の映画として大好きな映画
であり、不意に観たくなって再鑑賞。
本当に幾度と鑑賞を重ねても
涙が絶えない映画だ。

物語としては、
20世紀博というテーマパークに
魅入られた大人達が突如として
街から子ども達を置いて去ってしまい、
しんちゃん達が止まってしまった
21世紀と大人達を取り戻そうとする
奮闘劇となっている。
まず、物語の前半と後半で、
かすかべ防衛隊と野原一家
がそれぞれ活躍する展開となって
いる構成が良かった。
前半は軽いホラーにギャグが中心で、
後半はシリアスなギャグアクションに
移り変わっていく、
その自然な流れが素晴らしいと思った。
しんちゃんが
階段をかけ上がっていく場面は、
音楽「21世紀を手に入れろ」と相まって
必ず涙が込み上げる場面だ。
そして、自身の成長と共に
泣ける場面となった"ひろしの回想"。
子どもの頃から観ていて、
今でも泣ける映画は本作だけだ。
大人になると、
嫌でも背負うものができて
ノスタルジーな気分に逃げたくなるが、
本作の野原一家を観ると誰かの為に、
差し引いては未来を生き抜いていく為に
頑張ろうという気持ちにさせる魅力に
溢れていると思った。

又、野原一家と敵対する
ケンやチャコだが、
こちらも大人になって見返すと
魅力的に感じるようになる面子である。
ケン達は今の21世紀を否定し、
人々を懐かしさ溢れる20世紀に
戻そうとするのだが、
本心は終盤のしんちゃんと一緒で
希望や未来ある21世紀を
生きていきたい事が感じられ、
野原一家にチャンスを与えている点が
良い例に思えた。
他の「クレヨンしんちゃん」
映画には無い、一般人に近い非力ながらも
魅力に溢れた敵だった。

「クレヨンしんちゃん」らしい映画
と問われると異色作ではあるが、
家族の温かみや時代を感じられる傑作だった。
昔を懐かしむのは、
今を一生懸命に生きてからでも遅くない。
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