三隅炎雄

男の勝負 関東嵐の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

男の勝負 関東嵐(1967年製作の映画)
4.1
定型美学を丁寧になぞって終わった感じの鈴木則文の2作目『仁王の刺青』に比べると、いかにも飯場にいそうなおじさん村田英雄の立派すぎない、男前鶴田浩二や高倉健にはない魅力が上手に活かされている。出だしはやや粗く感じる演出も、酒場の女将で元博徒の桜町弘子登場から調子を持ち直し、村田と桜町がこころ惹かれあい結ばれるさまを情感たっぷりに描いて、いかめしさとは別の表情をコワモテ村田から引き出してみせたのは山下耕作の真骨頂、まことに名演出であった。村田・桜町好演、池部良・北島三郎・近藤正臣他助演も申し分なく、着流し任侠映画の佳作として大いに泣かせる。拳銃片手の桜町弘子にファンは痺れるだろう。
三隅炎雄

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