最年少でジュリアード音楽院に入学した話や『トップガン』や『ドアーズ』での撮影エピソード、家族やファンとの繋がりなどヴァル・キルマーのパーソナルな一面や表現者としての矜持がたっぷり詰まったドキュメンタリー。どこまでも創作や表現にひたむきな彼の情熱は、咽頭ガンで声を失ってもまったく衰えない。「映画」なんて括りを超えて「芸術」に人生を捧げている人だったとは全然知らなかった。
ここまで濃密なドキュメンタリーになったのは、彼がホームビデオやオーディション用のデモテープ、映画撮影中のログを大量に残して保存していたから。「こんなにたくさんあっても真理には辿り着けない」と本人は言うけど、限りなく近づけているのではないか。記録を残していくって大事なことだなと思った。