ポケ文太郎

ヴァル・キルマー/映画に⼈⽣を捧げた男のポケ文太郎のレビュー・感想・評価

5.0
2021年 アメリカ🇺🇸

トム・クルーズの出世作『トップガン』で彼のライバル、アイスマン役を演じて注目を集めたヴァル・キルマー
2014年に喉頭がんを告知され、治療のおかげで体調はかいふくするも気管切開をしたせいで思うように声が出せなくなってしまいました

彼は昔から自身のプライベートを撮ることが好きだったようで、本作はその何千時間もの貴重な映像と現在の彼の生活を映した自伝的ドキュメンタリーです

自分も”アイスマン”(86)からのファンで彼の初主演映画『トップ・シークレット』は今でもベスト・コメディ映画のひとつです
彼の両親のことや弟がいたこと、元妻ジョアンヌ・ウォーリーとの出会いが『ウィロー』以前だったことなど長年彼のファンでしたが知らないこともあって興味深かったです

『バットマン フォーエヴァー』でブルース・ウェインを演じてい、マイケル・マン監督の『ヒート』でもメチャメチャ格好よかったのに、今の若い人たちにはあまり知られていない、もしくはB級映画俳優と思われているのが非常に残念です

ここはちょっと愚痴です
本来ならオリヴァー・ストーン監督の『ドアーズ』は彼の代表作になるはずだったんですよ
The Doorsのカリスマシンガー、ジム・モリソン
誰がこの役をやるのか制作企画の話が出た段階から話題になっていました
当時大人気だったRock Singerビリー・アイドルも名乗りを上げちました(諸々あって彼は別の役で本作に出演しています)
演技へのこだわりが半端ないヴァル・キルマーはジム・モリソンのパフォーマンス完全コピーで歌声はほぼ同じ区別がつかないくらいそっくりに仕上げて熱演したのですが…監督の個人的思想が映画に反映されてしまい「こんなのジム・モリソンじゃねえ」と本物のThe Doorsファンからは反感を買う作品になってしまい興行的に大失敗しちゃったんですよね
当時たまたまLAにいて公開初日にコアなThe Doorsファンと一緒に映画館へ見に行ったんですけど、皆鑑賞後ブーイングでしたね
車で”LA Woman"を大音響で聞きながら帰ったのを覚えています

この映画の後も良い作品に出演はしているのですけどね
『D.N.A.』(ドクターモローの島のリメイク)で完全に自身の首を絞めハリウッドに悪評が広まってしまったことは否めません
こだわりが強く完璧主義者、だから監督にも噛みついちゃって…

彼自身が制作にかかわっているドキュメンタリーなので2000年に入ってからの駄作の話やゴシップについては語られていません

1996年に離婚していますがこどもたちとは仲が良いようです
本作のナレーションは息子のジャック・キルマーでした
娘もいい感じで父親を支えているようです

激太りしたり駄作出演、ちょい役出演が続いてファン辞めようかと思ったんですけど、本作を見て過去作を見なおしたくなりました

ドキュメンタリーには甘いので💯です
ポケ文太郎

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