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映画 おそ松さんのYAEPINのレビュー・感想・評価

映画 おそ松さん(2022年製作の映画)
3.8
SnowManの顔が大画面で拝めたらそれでいいや、くらいに思っていたら、何度も笑ったし、メタ視点の多重構造が映画としても興味深く、満足度が高かった。

結論から言えば、SnowMan、あるいは2015年のアニメ『おそ松さん』いずれかのファンであれば、十分楽しめる映画だったと思う。
私は偶然どちらも好きだったので、お得だった。
というか、元々そこまでファン層はかけ離れていないのかもしれない。

SnowManは長らくジャニーズJr.のグループとして活動していたが、なかなかデビューに恵まれず燻っていたと聞く。
私も初めて見た時はジャニーズなのにイケメンがいないじゃないかと思ったが、今では高いダンス技術とバラエティー力の高さにギャップ萌えを感じている。
そんなSnowManの抜け感のある可愛らしさが、おそ松さんたちのキャラクターとよくマッチしていたと思う。

そうは言っても天下のジャニーズに、朝からパチ屋の開店待ちをさせたり、立ちションさせたり、「童貞!!」と罵声を浴びせたりと、これまでは考えられないような自由度だった。
SnowManお披露目映画の前に、アニメ『おそ松さん』の実写化映画としての気概を感じた。

物語は、クズな6つ子が、大富豪のIT長者の養子になるべく自分磨きに取り組むところから動き出すが、そこから勝手に恋愛ドラマやスパイ映画、カイジ風デスゲームなど、クズな6つ子それぞれが主人公となれるような都合のいいストーリーへシームレスに移行していく。

6つ子の1人が養子になったらおこぼれを貰おうと企むトト子たちは、話が盛大に脇道に逸れていくのを3人の「話終わらせ師」と止めようとするが、すっかり酔いしれた6つ子との攻防が続いていく。

これまでどこかで観たことあるような映画のパロディに、どこかで観たことあるような展開を付け足していき、それについて都度ツッコミが入る、というメタ視点が何重にも積み重ねられていく構造だった。

何とか9人に配役を付けるための苦肉の策だったのかもしれないが、先の展開が読めないことでハラハラもしたし、面白かった。
思えばアニメ『おそ松さん』で同じ話をやっていたとしても全く不思議はないし、あくまで本作が「実写化映画」であることを証明していると思う。

ただ、あまりに決着がつかずに引っ張られるため、若干のしつこさは感じた。

後から映画『賭ケグルイ』の監督も英監督だったと知り、自分の監督作ならある程度二次利用し放題だなと納得した。
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