ニューデリーで人生を終えようとする人たちの訪問介護に勤しむ3人の女性チームの看護ドキュメント。
全編モノクロームな画面が寂しさと儚さをより強調、間に挿入される後頭部から胸にかけて灰色のカラスや子供たちが野球みたいなスポーツをする生活の一部を切り取ったカットが印象的。プップーと車の音が鳴って街の喧騒の中腐った管を取り腕に注射を刺し、心は此処には無いと死を覚悟し泣き出す患者とたじろぐ家族はなんのその、強靭なメンタルで患者の頭を撫で神様の名を呼びなさいと生の尊厳に向き合い、家族の悲しみに寄り添う彼女らは人に対しても仕事に対しても「真摯」だ。
モルヒネだけは飲ませて、が切なすぎるし自殺をしようとする（帽子が好きな）末期患者ハニフに投げかける正論が真摯に向き合っているからこそささる。命が終わる前の静謐な雨がより叙情的。
残った家族もつらいけど本人が辛いはずよとなだめる女性チームは双方への想いを抱えながら看取る姿はどんなマリア像よりマリア。車の中で眼鏡の看護師が静かに涙を拭いとる姿は忘れられない。1600キロ先の故郷に残された時間を生きる帽子男はもう帽子をつけていなかったのが晴れ晴れした。ラストカット、9-17時の仕事時間が終わって帰り際忙しなく車が行き来するライトの光がやたらと眩しい。
