ひろさん

スープとイデオロギーのひろさんのレビュー・感想・評価

スープとイデオロギー(2021年製作の映画)
4.0
済州島出身の母親がなぜ北朝鮮に酔心し3人の息子を「帰国」させたのかが、1948年に起こった「済州4·3事件」を調べていく中で分かっていく。
母親がその記憶を証言した直後にボケてしまったのは、「自分の心が壊れてしまわないように」との自己防衛本能だったと思われ、人間の能力の不思議さを感じた。
51歳の妻である監督と39歳の夫の日常も描かれている。葬儀屋の見学案内が義母宛に再度送られて来たことに電話で激しく抗議する夫の姿を出す必要があったのかと思うが、人には優しい面だけでなく色々な面があることを記録しておきたかったのかもしれない。
日本で生まれた朝鮮人として、両親の生き方を追った「ディア·ピョンヤン」とこの作品、北朝鮮から一時帰国する兄を題材にした劇映画「かぞくのくに」の3部作は、記録と記憶に残る作品である。
ひろさん

ひろさん