ハル

スープとイデオロギーのハルのレビュー・感想・評価

スープとイデオロギー(2021年製作の映画)
4.4
旅行で済州島行ったのに4.3のこと何も知らなかったこととか、戦後韓国の(独裁政権による)復興を経済的に支援したことで日本の加害が少し軽減された気になっていたこととか、認知症だったうちのおばあちゃんが去年亡くなったとき、時々顔を出して喋っていただけの自分に、近くで世話していた母がポジティブなことだけを伝えてくれてたんだなとか、なんか自分の中の深く考えずにほっといてあった部分に刺さって、涙ぐちゃぐちゃだった。悲しくて、しんどかった。

戦争体験をした人から話を聞くことがどれだけ酷か、何もわかっていなかった。どんどん押し黙って下を向いてしまうオモニに「覚えてる?」と聞く居た堪れなさ。もうやめてほしい、という感情と、でも残さなければいけないという思いと。聞く方だって絶対辛いのに、それでも踏み込んで聞き出して届けてくれるジャーナリズムに関わる人たち。せめて真摯に受け取りたい。

日本も太平洋戦争では被害を受けて、加害をして、それを振り返らぬまま経済発展に勤しんできた。語らなかったことを悔いている知識人はたくさんいて、でも語れなかったのかな、と観終わった後の私は思う。ヨンヒさんがいうように、「悪いことした方は忘れちゃいけない」んだけどさ。

「日本人はダメ」な理由がカメラの中で決して声高に主張されず、それがより申し訳ない。

4.3の式典で大統領が話す言葉が、沖縄の式典で岸田さんが語る言葉とはだいぶ違った。「謝罪」ってそういうことですよね...。韓国の国家が流れるのは理解できなかったけど。

家族のことが恋しくなって、感想を綴りながら今日が敬老の日だと気づいて、もう1回くらった。
ハル

ハル