黒社会、トライアドの権力争いを描いた香港クライムムービー。
権力争いと言いながらも、手下が小競り合いをするのみで、そこまでスリリングな物語ではなかった。プロダクションデザインや俳優が素晴らしいために序盤の期待値は物凄く高かったが、そこまでクライム映画として面白くはなく、目新しさもなかった。
伝統を重んじる男と若い無鉄砲なヤンチャ物が王座を争う。この王座は選挙制なため、各地方の幹部に根回しをする必要があるのだが、これが序盤で終了し、ボスだけが持つ杖の争奪戦になっていたのが個人的にマイナスだった。アクションシーンの画作りはカッコイイのだが、この杖の争奪戦があまり盛り上がらず終了するので全体としてイマイチに感じてしまった。組織犯罪を描くなら、もう少しポリティカルに根回しの部分を中心にした方がよかったかもしれない。
ラストで伝統を重んじる男が息子の目の前で人を殺すのだが、あまり息子のシーンがないため、とってつけたような印象があった。息子の目の前で殺人を犯す、警察に逮捕されるというのは非常にエモーショナルなものになるのだが本作はこのシーンしかないため、あまり心が動くものではなかった。
題材と俳優が非常によかった分、あまりハマることが出来なかったのが残念である。続編もあるようなのでこれも見てサーガとして全体の面白さを見たいと思う。