sayako

WHOLE/ホールのsayakoのレビュー・感想・評価

WHOLE/ホール(2019年製作の映画)
4.3
今年観た映画のベストに入るくらい、忖度なく面白かった。

当事者以外当事者になり得ない、限りなく中芯まで寄り添い知ることはできても理解することはできない、という考え方をこれまで持っていたのだけどそのうまく言語化できないもやもやした感覚がバシッと映像になっていた。

冒頭のモノレール、初めは内側から線路だけを、次に窓の外を写して向かいのビルに映る姿で漸くそれが何か分かる感じが、私たちが対人関係においてナチュラルにしてしまっているラベリングに近いようで意図してなかったとしてもすごく良かった。外見から分かることなんて殆どないのにね。

何を以ってアイデンティティとするか、
日本人と言い切ることで自分を保つ誠と、何者であるかゆらぐ(何者でもないが正解なのかも?)ハルキの、型にはめられない複雑さがリアルだった。し、それがタイトルのwholeだと思った。

日本語教育勉強してるけど、教科書読んだりフィールドワーク行くよりも映像で観た方が私はすごく近づけた気がする。ハーフだと半分というイメージが先行するからダブルと言う方が適切な言葉だ、ということとか。家庭内言語のことだったり、ルーツについて親に訊きづらいことだったり。

映画のこと含め色々伺い、その物腰の柔らかさと芯の強さが映画に繋がるんだなあと思いました。楽しかった!
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