KnightsofOdessa

Victoria(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Victoria(原題)(1979年製作の映画)
3.5
[ノルウェー、叶えられなかった身分差の恋] 70点

1979年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。初ヴィーデルベリ。1880年代ノルウェーの田舎を舞台に、粉挽き職人の息子ヨハネスが地主の娘ヴィクトリアに恋をする話。コスチューム劇、埋められない階級差恋愛としては満点の出来で、緑っぽいフィルターを通したフィヨルドの鮮やかな自然やシンプルだが洗練されたヴィクトリアのドレスなど画面が常に華やか。愛くるしい Michaela Jolin の嫉妬顔も最高。ヴィクトリアが白馬で駆けていった次の瞬間に白馬だけ再登場して落馬が判明するシーンはブリュノ・デュモン『Joan of Arc』を思い出した。途中で落水したのをヨハネスが助けたカミラちゃんが成長して再登場するんだが、落水したときに顔を一切見せなかったので、後々に超絶美少女であることが判明してヴィクトリアの機嫌が悪くなるのとか面白すぎ。クヌート・ハムスンの小説を基にしているようだが、ヘニング・カールセン『Hunger』もハムスン原作で都会に出てきた貧乏作家の話をしていたと考えると中々大変な作家人生だったことが伺える。

ちなみに、本作品はスウェーデンとドイツの合作で、結果的に尺の異なる二つのカットが製作され、ドイツ版はスウェーデン版よりも20分長いらしい。ドイツ側の意向に反してヴィーデルベリが勝手にスウェーデン版を同年のカンヌ映画祭に提出したものの、評判が芳しくなかったため、スウェーデンではヴィーデルベリがドイツから権利を買い戻して再編集する1987年まで公開されなかった。
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