イッソン

ホワイトナイツ/白夜のイッソンのレビュー・感想・評価

ホワイトナイツ/白夜(1985年製作の映画)
3.6
ミハイル・バリシニコフのバレエを見るための映画。
もちろんグレゴリー・ハインズのタップも素晴らしいのだけど。
ミハイル・バリシニコフ=ミーシャが「若者と死」を踊るオープニングで、そのレベルの高さに目が釘づけ。
気だるそうにタバコを吸ってた男がベッドから起き上がり、いきなり斜めに飛びクルクルと2回転!あっという間に机に登ったり、椅子にまたがって悶絶したり、女神かと思った女は死神で首吊り縄を指指す、ミーシャは驚きまたまた回る回る。その回転のブレのなさが、まさにバレエなのだった。
台本はコクトーで振り付けはローラン・プティで音楽はバッハ。
この冒頭シーンを見るだけでもこの映画は価値がある。
あとのお話は、さて、どうでしょうか?なんかミーシャがいきなり魅力なくなる気がするのはどうしてか。ハインズと一緒に踊るシーンはトワイラ・サープの振り付け。これは当時は新しいダンスであった。何か激しい思いがないゲームっぽいダンスだ。その前にミーシャが11回転に挑戦して余裕のピルエットを披露するシーンが有名。これ、バレエを習っていた少年たちは皆マネしたものだ。熊川哲也も例外ではないはず。それだけこの映画は影響力があった。
映画の途中でミーシャの少年時代のフィルムが流れる。大変に貴重なもので、名物教師のアレキサンダー・プーシュキンの姿を見ることができる。ヌレエフも教え子の一人。「ダイハード」の悪役だったゴドノフも教え子だ。ロシアの悪いところは数多いが、ミーシャという稀有なバレエダンサーを育てたことは評価して良いと思う。


ハインズは「ポーギーとベス」の歌い踊るシーンがいい。ミーシャのバレエとは基本的に違うスタイルであるタップダンスがラフな感じでいい。そもそも姿勢が悪いところがタップだとサマになるのだからバレエの優等生的な形とは別物なのだ。

イザベラ・ロッセリーニがもったいないんですよね。もう少し活躍できなかったのかな?何か特技があったら良かったのだろうか。
何となくこの映画は「カサブランカ」を意識していたのかもしれない。