悪魔の毒々クチビル

ウエスト・エンド殺人事件の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ウエスト・エンド殺人事件(2022年製作の映画)
3.3
いや最後お前が纏めるんかーい

劇場で起きた殺人事件の調査を任された警部と新人巡査のお話。

俺が観た時はまだ邦題も付いていませんでしたが、しれっと追加されていましたね。
今のところディズニー+での配信のみですが、最近話題になった「バーバリアン」を始めU-NEXTとか他でも観られる作品はちょいちょいあるっぽいのでもしかしたら今後別のでも観られるかも?

取り敢えず主演がサム・ロックウェルってだけで観ちゃうよね。
ただね、あんま面白くなかったんだこれが。

何処か決定的にダメな部分がある、と言うよりは全体的にそんなに盛り上がらない。
作風自体は割と凝っていて、単なるフーダニットで終わらせない流れや画面を分割させたりちょいとウェス・アンダーソン的な雰囲気もあったり、オープニングで即殺されたエイドリアン・ブロディがナレーションや回想シーンだけでなく「シャイニング」のバーのくだりみたいな出方までしていたのに、そこまで印象に残らなかったです。
個人的にそんなにウェス・アンダーソン好きじゃないからってのはあるかもしれません。

サム・ロックウェルが演じる気だるそうなストッパード警部も、終盤ちゃんと解決の糸口を見出だしてくれる反面、作風の影響もあってか緩さとバシッとキメてくれる時のバランスが絶妙なパターンのサムって訳ではなくてもどかしい。
相棒のストーカー(名前ね)も、お喋りで言われる事は何でもメモを取っちゃうこれまた分かりやすいキャラなんだけど、そこまでこのキャラ設定が輝いていたかと言うと…うーん。
ビスケット賄賂は好きかな。
二人の熱量の差が激し過ぎる会話劇とかもまぁまぁ良かったです。

事件現場となったのがアガサ・クリスティ原作「ねずみとり」の舞台ということで、アガサ本人もチラッと出たり容疑者勢にリチャード・アッテンボローやエドナ・ロムニーと言った実在の人物がいたのも面白い所ではありました。
しかしながら推理モノとしても、そんなに爽快感は無かったのよね。

もしかしたらアガサ・クリスティ作品へのオマージュなんかもあったかもしれませんが、どこを切り取っても一定のテンションを越えられないのが残念でした。
ラストのサム・ロックウェルのウインクは素敵でしたが。