散歩

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~の散歩のレビュー・感想・評価

3.8
「ユルい作品だから」って逃げを作らずに前のめりになって真剣に茶番を繰り広げる今シリーズの姿勢が個人的には結構好きです。いきなりの阿久津ネタに不意打ち喰らったし、粉もんを口に詰め込まれるGACKTという貴重映像も見られたし、阪神優勝や某映画(予告にも出てるから隠す必要ないけど)のモロパクリみたいな予期せずタイムリーになってしまったネタにもニヤリとさせられて、定番の出身者バトルも前作から捻りが加えられていたり、あとはまあほぼ全編に渡って散りばめられたネタの数々とかね。ネタの全部は拾えなかったしハマらない所もありましたが昔の楽しかった時代のテレビとかを思いだしてゲラゲラ笑いながら観てました。百美の出番が大幅に減ってしまってちょっと寂しかったり、あと当事者が作っている訳ではない事からのセンシティブさっていうのがひょっとしたらあるのかも知れないって思いが無い事は無いんですが、まあそういう所も含めての「ゴメンなさい」ってことでwちゃんと気遣いもされてたしね。ドラマも前作より構成が良くなっている感じがして結構観やすかったです。

ただの茶番に収まらず中央集権への批判が見て取れたのが批評的にも好評だった前作でしたが、もうテーマ的にはやり切っている感じがしたので「今作はただのネタ映画になってしまっている可能性もあるのかな?」って不安もあったんですが、今作は上の支配をどこかで受け入れてしまっている姿勢に加えて下の者たちが分裂して争っている事の不毛さっていうのがより分かりやすく描かれていて、下を右と左に分断して争わせることが結局上にとって凄く都合が良いことだったりその結果として国が脆弱になっていくことに言及しているのかなって。ちょっと『バイス』とかを思いだしたりもしたんですよねぇ。前作が権力に対する批判の作品なら今作は(今の)市民に対する批判を込めた作品だったのかもなぁ。しらんけど
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