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翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~のTSのレビュー・感想・評価

3.7
【関西圏の自虐ネタ勃発!?】79点
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監督:武内英樹
製作国:日本
ジャンル:コメディ
収録時間:116分
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 2023年劇場鑑賞46本目。
 前作から4年と9ヶ月。GACKTの体調によっては製作が危ぶまれた続編。自称「最大の茶番劇」というように、もう自虐ネタをこれでもかというくらい言い合うこのシリーズは、嫌いな人はとことん嫌いでしょうが、自分としてはむしろ清々しくて素晴らしいと思いました。普通に面白かったですし、こんなくだらないことを大真面目に本気でできることが素晴らしいと思います。今回は埼玉県+関西圏という構成なので、特に関西圏の人が見たら楽しめると思います。前作も面白かったのですが、確かに関西圏の者が関東圏の自虐ネタをみてもあまりしっくりこない。その点だけでいうと、関西圏の者からすると今作は前作を凌駕していると思います。

 都市伝説なので、この話がいつの時代なのかは正直よくわかりません。このヘンテコな時代設定がなんでもありの雰囲気を加速化してます。現代って言ってしまうと、服装が明らかに時代遅れだし、かといって今から⚪︎⚪︎年前とか言ってしまうと、現代の利器がいろいろと登場するので整合がとれなくなります。この世界観をまずは受け入れないと何も始まりません。

 さて、とある目的のため埼玉解放戦線のメンバーは和歌山に行くことになりますが、和歌山の白浜を大阪が占領しているとのこと。で、大阪は粉もん料理が多いので、この粉を全国にばら撒き植民地にしていくという構想があるのです。もはや文章化したら小学生が考えたようなシナリオですが、これを莫大な予算をかけて、いい歳をした大人たちが全力でやるから好感度があがります。これを低予算、低規模、マイナーな俳優でやってしまうと呆れてしまう駄作が誕生してしまうのでしょう。それにしても、大阪の悪役具合は凄まじく、大阪府知事を演じる片岡愛之助が良い味を出してました。で、妻の藤原紀香が神戸市長として出てくるからもう何でもあり。しまいには自分の出身地もディスっていくので笑ってしまいます。例えば片岡愛之助は堺市出身なのですが、これを藤原紀香が「あんな古墳しかない町」といってしまうのですから爆笑。そんな感じで滋賀はげじげじ、奈良は鹿と、近畿地方のやや遅れをとっている?とされている都道府県がディスられていきます。

 なんだろう、こういうのって他の国ではできないと思うんですよ。多分こんなのが冗談といえど映画化されたら喧嘩になるのでは。確かに日本も県民性を強く持つ国であるので、しばしば負けられない戦いが勃発するのですが、それを笑い飛ばせるほどの余裕があるのが日本の良いところだと思います。実際、今作では大阪はかなり悪役なのですが、別にそんなに悪い気はしませんし、むしろこんなにクローズアップしてくれてなんだか嬉しくなりましたよ笑 粉を浴びすぎたら禁断症状がでてきて、大阪弁になり、なんでやねんが止まらなくなるというのも普通に面白かったですし、良くも悪くも大阪を知ってもらうには良い機会だと思いました笑 ちなみに僕はGACKTがしゃくれて大阪弁になっているところが一番面白かったです。

 多分今作で一番ディスられてるのは滋賀県だと思うのですが、埼玉県民も前作で同じような気持ちになったのでしょうか。滋賀県といえば琵琶湖。というのは割と近畿圏では御法度の言葉になりつつありますが笑 琵琶湖が間違いなく今作ではキーポイントになっているため、埼玉よりも今回は滋賀に焦点があてられているといっても良いでしょう。最終的にはこれらの都道府県は手を組み、悪の親玉大阪に立ち向かっていくのですが、もうこの続編はほとんど『翔んで埼玉』の関西版といってもいいでしょう。一応GACKT演じる麻美麗とその仲間が埼玉県民であるという設定だけであり、それ以外はほぼ関西の要素のオンパレードです。なので、関東圏ではやや冷ややかな目で見られて、関西圏では結構ウケる作品となるのではないでしょうか。

 確かに大丈夫かこれ?笑 というネタも割とありますし、GACKTが「すぐ公開中止になります」と冗談を言った気持ちもわからなくもない。まあでもこういう作品を全力で作り、みんなで見て笑える国民性は素晴らしいとつくづく思います。三作目があるとするならば他の地域であるのかな。。?笑
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