ミミオ

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~のミミオのレビュー・感想・評価

3.2
パタリロ!って不思議なコンテンツだと思いませんか?
ある一定の世代にはかなりの認知度があり、コミックスは100巻以上(なおまだ連載中!)も出ているのに、あなたは周りでコアなパタリロ!ファンに出会ったことがないはず。

それは何故か。答えは、「恥ずかしいから」なんですよ。
パタリロ!ファンは、大っぴらに好きだ!と言うと白い目で見られるのではという恐怖に怯えて暮らしているのです(西村知美は除く)。パタリロ!ファンだと職場で言おうものなら、ボルネオ支局に左遷されちゃうと思っているのです。隠れキリシタンの気持ちが誰よりも分かる、それがパタリロ!ファンなんです。(試しにエトランジュ王妃のブロマイドを踏み絵にすれば炙り出せます)

ここまで書いたからにはお分かりと思いますが、何を隠そう、僕、パタリロ!が大好きなんです。言っちゃった…
実家の本棚にはコミックス全巻が並んでまして、スピンオフのパタリロ!西遊記とか、愛蔵版のよりぬきパタリロ!も揃ってたりします。カラオケでは「美しさは罪」を歌いたくてしょうがないのです。

だから、魔夜峰央先生(ミーちゃん)が令和の今、こんなにもてはやされているのがこそばゆくってモゾモゾしちゃいます。世間に向けて礼賛しちゃいけないはずなのに!
僕としては、パタリロ!のおかげで同性愛に偏見を持たずに育ちましたし、MI6やKGB、CIAやモサドなどの存在を最初に教わった教科書でもあり、ベルゼブブなどの魔界の序列も学びました。フライミートゥーザ・ムーンはエヴァじゃなくてパタリロ!を思い出すのです。でもこんなこと、今まで口にできなかった…

我々のような隠れ信者にとってこの作品を観にいくのはもうお布施です。良かったなあ、ミーちゃん、長く続けると時代は変わるんだなぁ…としみじみ隔世の感を味わうものです。

というわけで、僕らには映画の良し悪しは別次元なんですが、話題だからとこれから観にいく普通の人や、間違って観ちゃった人向けに、誤解のないように言っておきます。
コンプラ違反を楽しむ、ポリコレ抑圧の元で実は言いたかったことを代弁してくれる、そんな楽しみ方もあるでしょうが、ミーちゃんは多分そんなことは考えてません。ただただ、知ってる人が分かるギャグ(ミーちゃん風に言うとハイブロウなギャグ)を連打したいだけ。
お話が多少破綻しているのは、ミーちゃんが元来テキトーな人間だからです。パタリロ!で、フィガロを出しちゃって回収に困ってるのを見れば分かりますよね。ね?
そういう意味で、監督はよく分かっていらっしゃる。画面上もセリフも情報過多、物語は時々ハテナだと思います。でもそれが魔夜峰央なんです。満点です。
ただもう続編はいらん。
ミミオ

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