よーだ育休中

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~のよーだ育休中のレビュー・感想・評価

4.0
さいたま市役所に勤めている内田智治(アキラ100%)は、日本有数の猛暑地点・熊谷市で開催される「埼玉県市町村対抗綱引大会」の会場へ向けて車を走らせていた。するとカーラジオのNACK5から聞き覚えのあるDJの声が流れてくるー。


◆壮大な茶番劇、ふたたびー。

魔夜峰央による80年代ギャグ漫画『翔んで埼玉』の実写化作品が大ヒットしたことを受けて制作された続編。前作と同様に物語は《現代パート》と《伝説パート》を交互に往き来しながら進んでいきますが、ストーリーや新規参入したキャラクターたちは原作漫画の独特な世界観を踏襲した完全オリジナル。

今作の現代パートでスポットがあてられているのは前作でもそこそこ脚光を浴びていた熊谷と与野。2001年に浦和市と大宮市が合併して誕生した埼玉県の県庁所在地であるさいたま市。その際、合併に組み込まれた旧与野市に暮らす《内田一家》が、前作における現代パートの主人公《菅原一家》の実家がある熊谷市で開催されるイベントにはるばる向かうというストーリー。

前作の劇中で特にエッジが効いていた台詞のひとつ「与野はすっこんでろ!」のように、与野在住の市役所職員が綱引き大会の決勝でかち合ってしまった浦和と大宮の仲裁に四苦八苦する様子が描かれます。

熊谷市の特徴である猛暑が活かされたストーリー。各所に散りばめられた前作へのセルフオマージュがローカルネタと相まって遊び心満載の作品に仕上がっていました。内田智治役を演じたアキラ100%に馴染み深いアイテム(お盆と、出身地である埼玉県秩父市の天然水)を登場させた演出もお見事。サッカーファンとしては、浦和と大宮の綱引きバトルにレッズとアルディージャのエッセンスが取り入れられていたことも嬉しいポイントです。


◆ 埼玉に、海を作るー!

埼玉県における行政の中枢である、浦和。
商業や交通の中心地となっている、大宮。

今や全国放送の某ご当地バラエティ番組を筆頭にネタにさr・・・取り上げられるほどの題材になっている埼玉県内の争い。「千葉と埼玉のどちらが首都圏三番手の県なのかー」という(どうでもいい)バトルを描いた前作に対して、今作は埼玉県内の(醜い)争いが取り上げられています。現代パートでは「絶対に白黒付けてはならない綱引き大会」を、伝説パートでは「まとまりのない埼玉県を横断する武蔵野線構想」を通して埼玉県人たちのどうしようもない不仲っぷりを描いています。

GACKT演じる埼玉解放戦線のリーダー麻実麗が、真顔でふざけたことを言ってのけるテイストは健在。大宮駅前のアルシェや、11月14日(埼玉県民の日)には多くの埼玉県民が武蔵野線を利用して千葉県某所を目指すなど、埼玉で育った人にはたまらない小ネタが今作にも盛りだくさん。同県東部地域出身の私も大いに共感したところ。

埼玉を繋ぐ武蔵野線構想も、自国第一主義の不仲県民には響かず。麗様は(これまた真顔で)埼玉に海を作る!などとのたまいます。茨城の大洗から海水を引こうとしたバカな埼玉県人が前作でネタにされていましたが、今作では麗様が自ら秘境の地・和歌山県の白浜へと赴き、ビーチへ敷くためだけの砂を運ぼうとします。これによって翔んで埼玉ワールドは関西地区にまで大きく広がることになりました。いいぞ!もっとやれ!

千葉解放戦線の姐さん二人が埼玉の(おバカな)作戦に快く協力してくれていましたが、千葉県人による埼玉ポーズはちょっとやりすぎ。やっぱり千葉県人は阿久津が居ないとダメだな!(作中披露されたネタの中で一番キワドイ気がしましたが、愛あるイジりだと受け止めておきます。)


◆産地偽造やな。甲子園へ放り込んだれ!

関西地区においても個性的な実力派がクセの強いキャラクターたちを怪演していました。滋賀解放戦線のリーダー桔梗魁(杏)との禁断の恋。奴隷制にも似た恐るべき地域カースト。一致団結して革命を起こすクライマックス。前作を踏襲したプロットでしたが、やはり自分に縁のある県・地域の方が面白おかしく観られます。前作『翔んで埼玉』を観た他県民の皆様方の気持ちが何となくわかった気がしました。それでも、しっかり面白いと感じたのはキャストの力でしょうか。

今作のヴィランである大阪府知事・嘉祥寺晃(片岡愛之助)は前作の阿久津と壇ノ浦都知事を合体させた様な前線まで出張っていくタイプのラスボス。演技力とキャラクターそして演出の相乗効果が爆発していました。

大阪府知事の配偶者である神戸市長(藤原紀香)はリアル夫婦のキャスティング。愛人の京都市長(川崎麻世)との絡みは演者の懐の深さが故になせる技。最早恒例となった出身地合戦を通じて黒歴史暴露からの産地偽造発言もメタ視点で楽しめます。まじで演者の皆様が寛大。

︎︎︎︎︎︎ゲジゲジ眉毛のゲジゲジ県民(堀田真由)をいじめる京都の女将(山村紅葉)。「ゲジゲジの滋賀県民はそこらへんの害虫でも食べといたらよろしい。」なんというパワーワード。埼玉県民の方がまだマシなもの(そこら辺の草)を食べさせて貰えるよぉ。


埼玉、関西と来たら、次はいよいよ九州ですかね!



ー大切な人が、埼玉で待っているんだ。


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Dear.フォロワーのみなさま

新年あけましておめでとうございます(遅)2023年最後に鑑賞した本作。
ようやくレビュー投下できました。
新年早々ゆる〜く初めてしまいましたが、
本年も仲良くしていただけると嬉しいです!

今年も皆さんが素敵な映画と出会えますように(⌯'ᵕ'⌯)´-