ボギーパパ

愛なのにのボギーパパのレビュー・感想・評価

愛なのに(2021年製作の映画)
4.1
劇場2022-23 武蔵野館

城定秀夫監督、今泉力哉脚本のコンピ作。
この後監督・脚本の入れ替わる『猫は逃げた』が公開される珍しい形式のコラボ。
LR 15とはなかなか洒落ている!

朝日新聞紙上で両監督の対談記事があり、お二人の意気込みや背景を読み、是非と思い鑑賞。
そこにはこじらせ恋愛映画の旗手=今泉氏、ピンク映画界の吟遊詩人=城定氏と紹介されておりました。私は城定監督はあの名作『アルプススタンドの端の方』しか知らないので、今度はピンク方面も鑑賞したいと思いました(^^)、また今泉監督作も『あの頃』『街の上で』ですっかりハマったのでこのタッグ&クロスはとても楽しみ。

で、本作。期待を裏切らずたっぷりと楽しませていただきました。

城定監督は「セックスは人間のみっともなさを描くアイテム」と言われており、本作ではその業と言うか、本質というかがキッチリ表現されているところが、めちゃくちゃ刺さりました。詳しくは省きますが、本作に描かれているセックスはもはやコントでありながらもそれでいて艶っぽく!俳優陣の頑張りが堪能できました。

また、主人公多田(瀬戸康史)と岬(河合優実)の、あのプラトニックなやりとり。私には寧ろこちらの方が上質な愛の交歓に感じました。この対比を作り出された監督の素晴らしさにあらためて感服した次第です。タイトルの『愛なのに』、、、ラストに近づけば近づくほどその意味がしっとりと伝わるところに時間を忘れるほど没入いたしました。

そして河合優実さん、また素晴らしい俳優ですね〜。これからも期待しています。すっかり惚れました!『由宇子の天秤』『ちょっと思い出しだけ』も素敵でしたが、私は本作のトーンに痺れました!

笑いどころは、
「下手」が判明した時のカメラワーク。
ゆっくりと、青ざめるが如く引いていく画(^^)サイコー!亮介(中島歩)の心の無さが一転して、真実が明かされたあの瞬間!

また観たいと思わせるし、クロスした『猫は逃げた』も絶対観ようと思いました。

あの猫はクロス出演しているのだろうか(^^)
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