回想シーンでご飯3杯いける

愛なのにの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

愛なのに(2021年製作の映画)
4.2
今泉力哉と城定秀夫。2人の映画監督が互いに脚本を交換して映画を作るコラボレーション「L/R15」。先日レビューした「猫は逃げた」とは逆で、この「愛なのに」は、城定秀夫が監督で、今泉力哉が脚本を担当。

両作共に、恋愛に不器用な人達による、人間関係のもつれを描いているんだけど、シリアスになり過ぎず、クスっと笑える軽さが特徴。特に、こっちの「愛なのに」は、作品の登場人物が一生懸命になればなるほど、観客からは可笑しく見え、更には愛おしくさえなってしまうという、そのさじ加減が絶妙だ。露骨なセックスシーンもあるのに、あくまでもコメディっていうのも凄い。

ちょっと引っ掛かりのある言葉の妙や、終盤に垣間見せるクソ真面目さと気持ち悪さをミックスしたような熱い展開も、今泉脚本という感じがして大好きなパターンだ。古本屋の常連おじさんナイス!

その辺にいそうな人達だけど、決して共感やあるある路線にはいかない、映画制作者としてのプライドみたいなものも感じるし、日本映画界で大事にしなけりゃいけない才能だと思う。