今日は映画『信虎』を東京新聞特別試写会にて鑑賞。
「監督:金子修介」と言うことで期待して見たのだが、冒頭から「これは何か違うな」と確信させるゆる〜い演出。
本作は武田信玄生誕500年記念映画と銘打って、信玄の父親「信虎」の晩年を描いた作品だが、
よほど予算がなかったのだろう。
戦国時代を描いて、こんなに合戦シーンのない映画を初めて見た。そのほとんどが老齢の信虎を囲む評定(ひょうじょう)シーン。
予算のない中で苦労して撮ったんだろうな。
要するに『影武者』の裏側だけを追ったような作り。合戦シーンは『影武者』を見て補完しましょう。
それでも、その評定では、よく知らない武将の名前が矢のように流れて、かなりの歴史オタク、それも武田オタクでなければついていけない。
おそらく制作・脚本・共同監督を務める宮下玄覇氏の思いが強すぎて、エンターテイメントとしてのバランスが崩壊している。
それでも、偽書とも言われる「甲陽軍鑑」を元に作られていることはたいへん興味深いし、36年ぶりに主演を果たし、ほとんどのシーン出ずっぱりの寺田農の円熟の演技は素晴らしい。それだけに作品全体のクオリティがここまで低いのは残念だ。