魚さかな

笑いのカイブツの魚さかなのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
3.3
2024年1本目
 NHK 『着信御礼! ケータイ大喜利』のレジェンド投稿者が、オールナイトニッポンのハガキ職人になり、大阪から上京してコント作家の見習いから挫折する実話。
 仲野大賀(ベーコンズ西寺=オードリー若林正恭)の主人公へ寄り添う姿が素晴らしい。板橋駿谷(ベーコンズ水木=オードリー春日俊彰)の漫才シーンは、『だが、情熱はある』の戸塚純貴に勝るとも劣らない上手さがある。令和ロマンの漫才指導が効いている。
 菅田将暉は大阪時代に繁華街で知り合う情に熱いチンピラとして、相変わらずの良い仕事をしている。マドンナ的存在の松本穂香も悪くない。
 さて、肝心の主役、岡山天音。「人間関係不適合」というLINEを送ってオードリー若林の元を離れるのだが、その伏線としてのイライラ・怒り・壁や机に頭を打ち付ける・飲んだくれて路上で寝る・器物損壊など、不快なシーンが多過ぎる。
 才能ある主人公をねたんで追い出そうとする先輩作家が、辞めた人の視点で酷く描かれていることに共感できない。駆け出しの芸人が出演する大阪の劇場の先輩作家、前田旺志郎。オードリーのオールナイトニッポンの先輩作家、前原滉(役名氏家=佐藤満春)。オードリーとサトミツさんが、これで許可を出しているのか不思議だ。
 そして、ストーリーは起承転結の、起承転で終わり、消化不良を感じる。公式HPを読むと、主人公のツチヤタカユキは実名で、この原作小説は2017年刊行。「近年は、小説の執筆や、新作落語の創作、新作公演の作・演出を手掛けるなど吉本新喜劇の作家としても活動」とのこと。
 私は、『M-1決勝』をテレビでじっくり見る程度のライトお笑いファンで、オードリー含む毎週11番組を聴く『オールナイトニッポン』ヘビーリスナーだが、それよりも質の良い邦画を映画館で観ることを大事にしている。この映画は、自伝小説もとい暴露本を映像化したに過ぎず、映画としては高い評価は付けられない。
 テアトル新宿が推している作品なので鑑賞。
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