きんた君

笑いのカイブツのきんた君のレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
4.1
「何者でもない者が何かになりたくて結局何者にもなれなかった過程」を、ただ眺めるだけ。キッツイ時間ですコレは。。

主人公のツチヤが自分の好きな事しかしたくない(というか、出来ない)完全なる社会不適合者で、かつ無駄に変な尖り方をしており、マジで見てて痛々しすぎる。人間関係不得意、じゃないねんお前は。ツチヤが持つお笑いの才能も業界で無双できるほどのレベルではない中途半端さで、その辺もまたリアル。

ここで"こいつ痛くて馬鹿なヤツだなぁ〜"とだけ思うか、自分にも心当たりがあってウッとなるかで全然感想が変わってくる気がします。

僕は完全に思い当たる節アリ側の人間でしたので、要所で"キツすぎて"涙が溢れてしまいました…。
ちょっと違うんですが、大学生の頃「桐島、部活やめるってよ」を観た時と同種の涙を三十代になってから流すとは、、という感じでしたね。
自分自身の大人に成れてなさにも引きました、ええ。

後半の居酒屋のシーンがホントに良かった。
雰囲気変わり過ぎてて絶対新しい男出来てるの丸わかりな昔の女に不用意にアタックして勝手に振られてるところとか、ピンクの「お前は地獄に居てて欲しい」という愛情と絶望まみれのパンチラインとか。
鼻垂らして無様に泣いて喚き散らすツチヤの姿が、本当に自分には愛おしく見えました。
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