Ken

笑いのカイブツのKenのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
3.7
2024年1本目。
重かった。気持ちが晴れるシーンがほぼなかった。

昨年から唐突にオールナイトニッポンをradikoで聴くようになった。しかもオードリーのも。でも本作の原作者であるツチヤタカユキさんのことは知りませんでした。原作も未読です。


なにより菅田将暉が素晴らしかった。登場時間かなり短いのにとんでもないインパクト。本作で一番描きたかったであろうところ熱演している。すごく本質をつく発言をする。かなり難易度高そうな視点からの考えだけど、それくらい言えちゃいそうという不思議なキャラを見せてくれる。とても魅力的だった。


話自体は想像以上に重かった。ひたすらに苦労し続ける。報われるところもちらほらあるが、それよりも先に大丈夫か??という感情が先走る。だから見ている間そこそこ苦しかったけど、不思議と目を逸らしたくなったり歯軋りするものではなかった。

私自身教育に携わる仕事をしていて、ここ数年は発達障害とかそのグレーゾーンにかなり興味を持って勉強している。
本作の主人公はグレーゾーンというか、ほぼ当てはまっているように感じた。もしかしたら愛着障害なのかもしれないが。
そのため私には本作が放送作家の映画ではなく、そういう難しさに関する映画に見えていた。

本作の中ではその苦労を抱える主人公にも、菅田将暉演じるピンクとか、若林がモデルの人とか、サトミツがモデルの人とか、ちらほらと支えようとしてくれる人たちはいる。それでも思い描くようなところには辿り着けない。とても難しい。映画を超えて色々なことを私は考えてしまっている。

そんな主人公を演じた岡山天音はすごかった。動作も喋り方も。一番は癇癪起こしたときの動き。怒って打ち合わせ室飛び出して若林に説得された時に昂った時の動きはもうそれにしか見えなかった。



ずっと不思議に思っていたことは、なぜそこまで笑いにこだわるのだろうかということ。
人の気持ちを想像することに難しさを抱えているであろう主人公は、なにをゴールに笑いを極めようとしてたのだろうか。そこの共感性はあったということなのだろうか。
その笑いに関する共感性があるならば、待ち合わせのお店の下で1時間も立ち止まってしまうのだろうか。
そもそも主人公ほぼ笑わないし。
不思議だった。



あと漫才指導がM-1王者の令和ロマンだった。意外。
春日役の板橋駿谷、声の春日っぽさがすごかった。


原作気になるから読んでみる。
Ken

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