このレビューはネタバレを含みます
“売れる”“何者かになる”ということは、世間からの評価がなければ成立しない価値観で、人間関係あってのこのメカニズムを受け入れる姿勢が必要になってくる。つまり、やりたいことに少しだけの社会性を持ち合わせれば、それが仕事になるのだ。
しかし、本作の主人公は人間関係不得意で、その仕組みの中ではとても生きづらい。
なんでそんなこと言っちゃうかなとか、もっとこうしたらいいのに、と観ていた私はずっともどかしい気持ちを抱くが、そんなことは彼にとってはノイズでしかない。無理に決まっていると強靭な芯がある。
そして、その芯は決してブレることなく、大衆への迎合すらもしない。優しく手を差し伸べてくれる者にすら、正直に受け取ることができない。
そんな彼が幸せになれるのかは正直わからないし、私はあまり肯定できない部分が多かった。でもボケを考えるときが一番輝いていて、それを続けるしかないと示すあのラストが、とても好きだ。
