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笑いのカイブツのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
2.5

ノットフォーミーだった。

奇しくも、現実世界では、松本人志とかいうストイックな笑いの求道者から、お笑い界の大スター→芸能界1の大物、→本物のカイブツすなわちモンスターになった男が『TAR』のリディア・ターよろしく、過去の自己の行いについての(性加害があったなら、それは許されない行為)スキャンダル報道をきっかけにキャンセルされ、島田紳助の引退以来の大事になっている。

関西から全国に進出した吉本芸人達は、テレビメディアを中心に日本のいたるところに浸透、バラエティ番組のみならず、関西では夕方のニュースで芸人達がコメンテーターを務める始末(個人的には、これが一番、一番我慢ならない。松本人志や他の吉本のお笑い芸人も沢山笑わせてくれたし好きなんだけど、お笑い芸人がしたり顔で無知を晒すような事はすんなよ!と思う)
お笑い帝国吉本クリエイティブエージェンシーは最大手広告代理店の電通の堅〜く手を結び、さらには与党の政治家にすり寄ってみたり、
東京オリンピックに懲りないこの国で、今度は関西で維新の会と結託し時代遅れの万博を開催しようとしている。税金をたんまりと注ぎ込んだ、望まれていない万博を。
それだけ、この国のお笑いやお笑い芸人やお笑いの事務所は社会的影響力を強くしている、

そんな中で(全然関係ないっちゃないんだけども)、この時代遅れの産物のような、お笑いへの執着心と才能だけは異常にデいけど、日常生活を営むのにじゅうぶんに支障があるくらいに『人間関係不得意』な男の、自意識の物語を見せられても何も響かない。
常々、『主人公に感情移入できない』っていう映画のレビューをよく目にするけど、感情移入史上主義みたいなのには大反対で感情移入できない人物なのに、物語全体として作品全体としてどうこちらの感情を揺さぶるのか、社会批評として訴えるものがあるのか、が大事なのだと考えてきた。
本作の主人公、ツチヤは感情移入できないどころか台詞も所々、何言ってるのかわからんし、序盤とくに、突然叫び出したりどういうキャラなのか掴みにくいのだ。お笑いについても、常人離れした卓越した才能の持ち主なのか、一般人よりは面白いけど業界にはウヨウヨいる程度の才能なのか、示し方が巧くない。(作中に何度もでてくる、大喜利のお題と回答、あの演出がチープだし陳腐だし、何よりこの回答が『面白いでしょ』と言いたいのか『この程度の中途半端な面白さ』と言いたいのか分からない。大阪で育った幼少の頃からのお笑い好きとしては、面白さ、中の中程度。
IPPONグランプリで紹介されてた一般人の回答の方が唸らされたり笑わされる。)

それはさて置き、
この作品で描かれる主人公の感情表現は陳腐に映ってしかたがなかった。
鼻水垂らして嗚咽するのが豊かな感情表現なのでしょうか??

岡山天音さんの演技力は、確かなものがある筈なんだけど、これは演技を要求する側の問題の気がする。

ただ、友情出演的にサラリと登場する、菅田将暉と仲野太賀が画面に映ると、やはり絵が持つ。
とくに菅田将暉が演じたアイツ、最高だったな。
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