かに

笑いのカイブツのかにのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
3.7
終始怖いし辛かった。そこで少しだけ自分に嘘をつけば、嫌でも一瞬我慢すれば、上手くいく道はあったはずなのに、一切その選択を取らないツチヤ。人としては真っ直ぐで正しいけど、社会の一員としては全く通用しない。得意なことに全力出してその他はダメダメ、が許されない世の中も世知辛いけれど、それでもなんとか仕事がやりやすくなるよう手を差し伸べてくれる人の手も、幾多のチャンスも振り払うツチヤにはやきもきする。
一番手にするのが難しい「才能」はもう持っているのにどうしてこうなるのよ、と思ってしまうけどそういうことじゃないというのも痛いほど分かる。だからどう考えてもツチヤの生きる世界が地獄すぎて、じゃあどうしろって言うのよ…と苦しくなった。苦しくて見てられない95%、「これしかない」人生への羨ましさ5%な人だった。

脚色はあるとはいえ東京進出してからのエピソードは、周りの人間のモデルになった人たちを知っているからこそ本当に「ツチヤから見た世界」を描いているんだなと感じられて良かった。氏家さんに対する感情やベーコンズ・水木のあまりの影の薄さ(ちょっと笑った)など…。
にしても今年度は、「だが情熱はある」に「LIGHT HOUSE」(まだ1話しか見てないけど)に今作と、オードリー・若林という人を色々な角度から見る1年だったな。こんなに重なったのは偶然だとは思うけど。
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