EPATAY

女神の継承のEPATAYのレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
4.7
土着信仰(アニミズム)やシャーマニズムを巡る人間の業による功罪。

まず、巫女とは一体どういうものなのかの説明が非常に上手く、観客に疑心と信頼を同時に与えることに成功している。

そこから後半に差し掛かるまではじっくりとしかし徐々に凶暴に“異変”とアニミズムを都合よく信じる人間の業を描いていく。

ドキュメンタリー形式をとったことが大正解。なりたくて巫女になったわけではないという事実と、なったからといって力を完璧に扱えるわけではないという設定を実録形式にすることで説得力が生まれている。

ゆえに、そもそも巫女の力自体が怪しいというこちらの疑心に対して、でもミンの身に起きていることは紛れもない事実で巫女の力に頼るしかないという構図ができる。

そうして、劇中の住民よろしく都合よく巫女の力を信じる観客たちはなんとかなるだろと安心するが、そのタイミングでいよいよ物語は佳境に入る。

過剰なまでに凶悪な怒涛の展開はそこだけ切り取って見れば可笑しくも見えるが、それまでの過程でじわじわとアニミズムに観客を取り込み“わかりそう”だけど“わからない”、でも“わかった気になる”状態にさせてから訪れるために恐ろしさが何倍にも増幅している。

そして、決定的な余韻を植え付けるラスト。

あの一言で観客から希望が消える瞬間を生み出すのは見事としか言いようがない。
EPATAY

EPATAY