みーちゃん

女神の継承のみーちゃんのレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
2.0
私はドキュメンタリー風にしない方が良いと思うけど、それは一旦置いておいて、前半と後半で別の作品か?と思うくらいギャップを感じた。前半は面白かった。タイの街並みや文化、気候までも感じられる映像が美しい。

◇ここから本編に触れます

ミンに異変が起きる様子、周囲の戸惑い、本人の苦しみなど、途中までは自然な流れで受け止めることができた。でも、除霊までのカウントダウンを隠しカメラで表現する辺りから、見た目の衝撃とは反対に、急激に面白さが失われた。あの演出でホラー味が増すという意見もあるかもしれないが、私は逆に興醒めした(人によって楽しみたいポイントが違うんだろうな。色んな好みがあっていいと思う)。

そりゃあ、ショッキングな隠しカメラの映像を一部分だけ挿入するのは有りかもしれないが、6日分を何の工夫もなく順番に見せるのはちょっとね。それでも何とか儀式当日を迎えることができたので、ここらから本領発揮かと思いきや、また暗視カメラの多用でがっかり(やればやるほど冷める)。

イノが妹を信じ切ることが出来ず勝手に祈祷を受けさせてしまうところや、パンが迷いながらもドアを開けてしまうところは、我が子を愛するが故の中途半端な最悪の決断で、少し"哭声"を思い出したが、本作のは共感ではなく、イラっとした。

あと、叔父さんのキャラがいいのに終盤であっさりやられちゃうのが勿体ない。直接的な描写も安っぽい。ミンがこの場に居るということは、自宅はどうなったのか?妻子に何が起きたのか?…彼にそんな地獄を想像させながら、じっくり憑依したら、もっと残酷で恐ろしいのに。

ついでにエピローグのインタビューも蛇足だと思う。観客に伝わる自信がないから登場人物に語らせるのかもしれないが、ニム役の人が上手いので、アイデンティティが根底から揺らぐあの感情と状況は、わざわざ説明しなくても分かる。