ぼっちザうぉっちゃー

女神の継承のぼっちザうぉっちゃーのネタバレレビュー・内容・結末

女神の継承(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

しっかり怖かったし、ちゃんと面白かった。

序盤は、一部の地方に伝わる女神にお話しを伺う様子が穏やかに進行していたものの、その継承に迫る段に切り替わってから少し不穏な空気が漂い始める。そしてその悪魔だか悪霊だかの正体が、多神教だったりキリスト教だったりの宗教的な衝突に紛れて、全く不測の事態を招いていく。
今作ではこういった展開が、いわゆる呪い系御用達の謎解きっぽい面白さに還元されてしまっているのではなく、二転する正体に、人智を超えた存在に、あくまで振り回されてどうしようもない様子として収められているのが良かったと思う。そしてそれこそが不条理ホラーの神髄に思えた。

また、バヤンや女神の運命を受け入れ表面上では信心深いように思えたニムより、ある意味で、信仰が薄くそういったものを忌避していた姉のほうこそ、本当の存在に触れて真の「信仰」に目覚めるというのが皮肉に思えた。

また儀式やお祓いのシーンが民族的な神聖さもありつつ、囃し立てるような独特の熱量に溢れているのが面白かった。みるからに似非っぽいサンディ先生のキャラ立ちも良い。

避けられぬカルマや人外の恨みまでその身に背負った少女の姿は、見るからにはただの人でしかないのに、絶対に人じゃない圧倒的な邪気を放っていて恐ろし過ぎた。特に階段下からヌッと出てくるあそこ。

そして尽く策が打ち砕かれて、もう手の施しようが無くなったクライマックスはやはりとんでもない恐怖で、ラストの方なんかはもう、ホラーとして究極の「一秒たりともそこに居たくない」のオンパレードで戦慄しまくった。