春雪

女神の継承の春雪のネタバレレビュー・内容・結末

女神の継承(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ホラー作品の中で、『いわく』がないのに恐ろしいことが起こることが怖いと思う。

ホラー作品では何か恐ろしいことが起こったときに、人には『以前自分が、または親族が、先祖がこんなことをしたから何かに呪われているのではないか』という原因を探り、
怪奇現象そのものには『こんな悲惨な目にあったのだから怨念があるのではないか』という原因を探る。原因がわかれば、解決策が見つかるからだ。

しかし原因がわからなければ、解決策が見つからず、なんだかよくわからないまま怪異に襲われ続ける。私はそういう貰い事故みたいな理不尽な怪異現象が恐ろしい。

この映画はタイの霊媒をドキュメンタリータッチで撮影することで物語が進行していく。
女神バヤンに憑かれている巫女ニムは、色々な怪異に思わせぶりな表情をするも、周囲への説明を戸惑うほどに欠く。その説明不足が事態を悪化?させることにもなる。
ここらへんはやきもきした。

しかしエンディングのニムへのインタビュー映像でその理由が分かった気がした。
自分に取り憑いているという女神は本当にいるのか、確証が持てない。霊感はないのかもしれない。

その状態で少女時代から長い間周りの人の期待に応えて儀礼を行い、一家の絶体絶命の危機に親族から頼られて、とても孤独で、怖かったに違いない。
悪霊に関することも、わからないから言葉少なに霊媒らしく振る舞わなければならなかった。って考えるとつらい。もともと姉の身代わりに巫女になったのだし。

それと同時に同じく霊媒のサンティのことも考える。彼も思わせぶりなことを言っていたが、実は霊媒としての力はないのではないかと。
だとしたらこの人もたくさんのスタッフかかえて辛いよなあ。
サンティがミンに憑いているものを先祖への復讐心をもつ悪霊と判じたが、それはヤサンティア家の歴史を知っていればだれでも言えることなわけで、結局悪霊の正体はわからずじまいだったのではと。
なんだったんだろ。

まったくの貰い事故だったらとても怖い。
貰い事故だったら最後のシーンは悪霊のおままごとみたいで胸糞悪い。

怖がらせ方としてはエクソシストとパラノーマルアクティビティという感じで盛りだくさんだった。
春雪

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