Monisan

女神の継承のMonisanのレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
3.7
観た。

正直、前半はなんでモキュメンタリーの手法にしたんだろう、と疑問がずっとありつつ観ていた。
普通にドキュメンタリー映像班が帯同している劇映画でも良いのに。アングルやカット割り的に無理ある気もしちゃったし、お芝居が逆に嘘っぽく見える所もあった。

それでも、タイの精霊の話とか儀式とか、東北部の森や山の雰囲気は楽しめるし、抑え気味の演出も好き。
ミンも巫女のおばさんもキャストは観たくなる魅力もある。

ここからネタバレになるけど、後半30分くらいから、あぁなるほど、となる。
モキュメンタリーって撮影者側の感情とか見えてこないと意味が無いと思っていて、前半はそれが無かった。
ただ儀式が始まって、各所暴走が始まってからは撮影班のそれぞれのカメラマンの主観映像が効いてきて、息遣いが聞こえてくる。ようやっと本領発揮か。

最早、解決手段は存在しないだろうという惨状はしっかり怖い。儀式のボスがやられて、タイの岸田今日子的な雰囲気のミンの母親が、変な覚醒するのも不気味だし、カメラマン達が続々と襲われる様子もなす術無くてよい。
床に置かれたカメラで焼かれる様子を演出するのもきちんと手法と合っている。

最後のニムのインタビューも、救いようが無いコメント。本物の怨念の前に形だけの継承は無力だったのか。そもそも継げてすらいなかったのか。

まぁ、でもこの壊滅状態で誰が最後にこの映像を編集したのよ、という辻褄の合わなさは残るけど。見応えは十分にあった。

バンジョン・ピサンタナクーン、脚本・監督
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