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女神の継承のvenom9のレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
3.8
本作、ブロガー方々がレビューを挙げていて評判の良さははなんとなく感じていましたが、放置していました。ホラーは好きですが、悪魔祓いものはさほど好みではないためです。 「哭声/コクソン」を観て、俄然ナ・ホンジン監督に興味を持ち、本作鑑賞に至ります。
本作は劇中でドキュメンタリー制作のために霊媒師二ムとその周辺に取材・撮影を行なっているという設定で、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のようなモキュメンタリー作品ですね。
「哭声/コクソン」同様、本作も一体何が起こっているのか真相を曖昧にしている節があります。本当に邪なものが人間社会に現象を起こしているのか、集団ヒステリーのような何かなのか、ややぼかしているように見えます。ただ、「哭声/コクソン」に比べると、人知を超えた何かが起こっているであろう、としている印象です。
さて、霊媒師二ムは姉ノイの家族に不幸な出来事が多々起こっていることに違和感を覚えます。ほどなくノイの娘ミンに奇行が目立つようになり、物語が進むにつれ、ありとあらゆる背徳的な行いに手を染めているとわかります。このあたりエスカレートした「エクソシスト」のようです。そして、ミンを救おうと霊媒師二ムがあれこれ儀式を行い、それでも不気味で凄惨な事象が後を絶たない、という話です。
基本的な構造はキリスト教系の悪魔払い系ホラー/オカルト的なのですが、舞台となるタイのイーサーン地方の僻地感、ジメジメと蒸し暑そうで、草木が鬱蒼としている様が、気味の悪さを後押ししています。横溝正史の金田一シリーズは山間部の孤立した集落が舞台となることが少なくないですが、あんな感じに近いでしょうか。
ラストシーン、霊媒師二ムがあることを告白するのですが、これがまた身も蓋もありません。私は降霊やら悪魔払いの類は「ほとんどが」ペテンだと思ってるので「然もありなん」なのですが、ひょっとしてナ・ホンジン監督もニムのセリフにのせて心の内を明かしているのかも、と思いました。妄想です。
(U-NEXTで鑑賞)
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