けーはち

女神の継承のけーはちのレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
3.6
タイといえば仏教国だが、一部で日本の八百万の神みたいな数多の精霊信仰も強く残る様子。そんなタイ某所の土着信仰の女神を宿す祈禱師一族の巫女を密着取材していると、突然娘の様子が──韓国ホラー「哭声/コクソン」のナ・ホンジン原案、タイ式エクソシストホラー。モキュメンタリーの体裁で描くためハデな映像表現ではないが、前半はインタビュー等も交え静かな「じわじわ系」で、後半一気に怪異が畳みかける「オラオラ系」へと加速する構成に、POV、定点監視カメラや暗視カメラを交えた視界で見せる・見せないもコントロールし、緩急つけて恐怖を煽る。キリスト教の悪魔祓いモノとの違いで、口伝で継承された祈禱師には明文化された信仰の拠り所、戒律や教典がなく、強力な悪霊に対峙しては自分の感覚にしか存在しない神の実在を疑い、戸惑いながら騙し騙しやるのだが、女神はそんな揺らいだ信仰には力を与えてはくれないのだ。