制作が発表された時、咄嗟に「え？どのストーリー？」と疑問に思い、結果的には全ての人の期待に応え、と同時に誰も予測しなかった「原作・脚本・監督 井上雄彦」による［新章SLAM DUNK］、もはや聖域です。
物語の中心となる現在軸はあの山王戦。原作に比べ派手な演出は最低限に抑え試合展開に特化し、その上で最新技術による選手たちの躍動感に目を奪われます。それと交互に構成されるサイドストーリーは原作では描かれていないあるキャラクターのスピンオフになっています。
大凡30年前の連載当初には想定されていないはずのストーリーが、現在軸の伏線として見事に符合し、井上雄彦氏による画力とそのエピソードのひとつひとつが観る側の琴線に触れ続けます。
毎週月曜日に週刊少年ジャンプを手が真っ黒になるまで読んでいたあの頃のまま、最後の１秒まで心を揺さぶられる最高の映画体験です。
なにより一緒に観た中学生の息子が「サイコーだった！」と熱狂し、再び単行本を読み漁る姿に何故か誇らしくなりました。
2022年のベストムービーのひとつです。
