『スラムダンク』を作者の井上雄彦自らが監督して映画化。
ストーリーはいいかな。とにかく山王戦のみに集中して描かれているのが特徴。原作をうまくまとめて映像化しました、という作品ではなく、山王戦の最初から最後までを軸に、必要な要素も描いているという構成になっていた。
原作にはなかったエピソードがあるということよりも、かなり思い切ってザクザク不必要な要素を見捨てていたのが印象に残った。山王戦のみなので出てくるキャラクターは限られているにも関わらず、十分に説明されない人物が何人もいる。作者本人でなければ、ここまで思い切って取捨選択はできないのではないだろうか。
私自身は『スラムダンク』を全巻呼んだのは社会人になってから、正確には2011年のことだった。当時担当していた舞台公演中に稽古場だか劇場だかで貸してもらって一気に読んで、「なるほどこれが皆が夢中になっていたスラムダンクか」と思ったのを覚えている。そのとき気に入ったキャラは仙道だったかな?(確か)
湘北高校の舞台になっているのは完全に私の地元なので、もっと早くに読んでいてもおかしくなかったのだが、なーんか中高時代は機会を逃したんだよねえ。というわけで、そこまでグッと思い入れがある作品というわけではないが、なんとなくキャラとかは頭に入っている状態で映画に臨んだ。なのでまったく知識がない状態での鑑賞については想像することしかできないのだが、おそらくそれでもかなり楽しめると思う。
というのも、今回主人公に据えられているのは(漫画の主人公である桜木ではなく)宮城であり、彼にまつわる描写はかなり丁寧で仔細であることに加えて、試合そのものがめちゃくちゃ見ごたえがあるから。もっとCGです!っていう感じのアニメーションになっているかと思いきや、いい感じに手書きっぽい質感や効果が加えられていて相当リアルというか、まあすごいのよ(語彙力の喪失)。
さらに、音が良い。試合中の効果音や劇伴もめちゃくちゃ良いし、The Birthdayによるオープニング曲とオープニングアニメーションもギョッとするほどかっこ良くて。とにかく試合シーンに関しては観ているものの興奮状態をキープしてくれる演出が最初から最後まで続く。ファンタジー要素がないアニメーションとしては限りなく理想に近いんじゃない?と、アニメに詳しくないながらも感じた。
原作に思い入れが特になくてもこれだけ楽しめたんだから、原作好きならば観ない理由はなし。絶対に行きましょう。