原作者・井上雄彦によって生み出される全く新しい『SLAM DUNK』。CGアニメ作品。
特別な大傑作だと思う。中1の自分が脳内でポヤーンと浮かべた「あんなバスケしたいなあ」の動きがそのまま映像になっている。そして原作とバスケから長いこと離れた今でもスラダンに感動する心が生きていたことがなにより嬉しかった。
湘北のアイツら、試合中の骨格や目線の動き、バッシュやボールの響き、ゴール下の密度、ディフェンスのプレスの圧。体育館という空間。全てが目の前にある。2時間の間ずっと映像と人の動きに心底驚き続ける。こんなすごいことない。
みんな大好きなキャラクターが集合する大作『SLAM DUNK』のポップさと見たことない
映像表現、原作者の拘りというオルタナティブさが完璧に融合している。「売れているものがどこよりも攻めている」状態。1番かっこいい。
努力するとはいえ持ってる奴らの話だった原作を持たざる者、立ち止まってしまった男、宮城リョータの目線から再構成しているのが新しい。過酷な生い立ちと最高の表舞台での覚醒を重ねることで「再輝」していく男の物語になっている。これによって試合中の細かい動作で涙が止まらないし、彼のパスによる各メンバーの見せ場にもワクワクさせられた。もうね、背番号を見るだけで締め付けられるよ。ひたすらアガっていく原作に対し渋みが加わったのも好きだった。
試合以外の場面のストイックなつくりにも感動した。ギャグは引きの画で処理。説明せずに画面見てれば分かる小物の演出。徹底してカメラを意識した人物の動きや配置。原作を「そのまま」やらない引き算思考の脚本。 名セリフすらカットする潔さに単なる漫画の映像化ではなく、映画というメディアの特性に最大限向き合った表現を指向していることが伝わってくる。
御託並べたけどほんとうに興奮して死ぬかと思ったし、EDでこんなに満足した映画は久しぶり。また見に行くと思います。ありがとう。
『AKIRA』『かぐや姫の物語』『リズと青い鳥』
『ピンポン THE ANIMATION』
『スパイダーマン:スパイダーバース』
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』
