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THE FIRST SLAM DUNKのhasseのネタバレレビュー・内容・結末

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

演出5
演技4
脚本5
撮影4
音楽5
技術5
好み4
インスピレーション4

私は原作未読だが、大ファンの友人と行ったところ、見てるポイントが全然ちがって面白かった。友人曰く、原作ではウェットな(感動的な)シーンのあとはギャグシーンが挿入され、それが緊張と緩和を生んでいる。今回の映画ではウェットなシーンが比較的連続して続き、その原作の良さは生かされなかった、と。

確かにずっとウェットな展開だが、緊張と緩和は、試合のシーンにカットインしてくるメンバーの過去シーンによってもたらされていた気がする。そもそも、普通のスポーツ映画なら「入部→猛特訓やメンバーの交流ドラマ、葛藤→試合(全国大会等のクライマックス)」という構成になりそうなものだが、本作はなんと「最初から最後までクライマックス(超強豪・山王高校戦)」という革命的な構成でもって観客を圧倒してくる。しかもそのクライマックスの中で、メンバー一人一人にスポットがあたり、「俺は…まだやれる!」みたいな覚醒スイッチが入って大活躍する、という絶頂が何度も何度も訪れる。
これは本当にすごい。さすがに2時間ずっと試合シーンだと、ショットが早すぎる、熱すぎる等で疲れてしまうが、過去ドラマがそこに閑話休題的なカットインをしてくるのが良い塩梅だ。宮城の兄の喪失、母親とのすれ違いと和解というドラマは内容的には既視感バリバリだったものの、構成的にはメリハリをきかせてくる。

原作未読のため、完全に宮城が主人公だと思ってみていたら、途中から「あれ、これ桜木が主人公なんじゃね?」と直感したが当たっていた。「観客への絶対勝利宣言→メンバーへのこれで勝つしかなくなっちまったなぁ」や、「オヤジ(安西先生)のピークはいつだよ? 俺は今なんだ」、その他奇抜ながら圧倒的主人公感を放つ言動の数々が印象的。

CGアニメながら手書きを思わせる演出も、アニメ映画の多面的に成熟した技術をうまく融合していたし、作画面でも非常に感動した。

作画、演出、キャラクターデザイン、声優の演技、すべてが卓越した作品だと思うが、やはり「ずっとクライマックス」という構成を生み出したのはマジで素晴らしいと思う。
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