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THE FIRST SLAM DUNKのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.5
『 今が、その時 』

SLAM DUNKにこれっぽっちも興味の無い男がここにいる。何せ、生まれてこの方あまのじゃく。ジャンプよりかはマガジン派。とにかくそもそも興味が無いのだから仕方ない。あとひとつ言えば、コロコロでもボンボンでもなく“わんぱっく”コミックが好きだった。

11月のとある日、妻が映画館に寄りたいと言う。理由は娘とふたりで観に行くという「THE FIRST SLAM DUNK」のムビチケを買う為との事。デザインが選べるらしい。
「どうぞ、どうぞ。」
旦那ながら他人事。それ位、とにかく興味が無い。いや、無かった...。

娘の学校では年に3回元気ッズ週間なる週が設けられている。要はメディアに頼らない週にしなさいという趣旨。ちなみにその週になると妻はいつも“はなから”あきらめていた。でも、そのあきらめがいつも口惜しかった。今年度既に終えた2回は実に惜しかったからだ。そして先月、3回目の時。娘が今回全部「○」にしたいと目標を掲げた。やるなら今しかねぇ!

元気ッズ週間中、テレビやスマホを見ても良い時間は一日2時間まで。なかなかに厳しい設定。平日はまだイケる、問題は土日だ。特に天気の悪い冬の日は家に籠もりがち。テレビにもスマホにも頼れないとなると...

「スケート行こ!」

「えっ...」

妻が言い出した。
元気ッズは達成させたい。でも、今まで一度もスケートをやった事がなくあまり気がのらない... いや、でも...
その週唯一の休みの日曜、スケートに行く事になった。どうせコケまくるのだろう...

日曜、アイスアリーナ到着。
スケート靴に履き替え、いざリンクへ。
「すっ、滑る〜💦 」
ちゃんと滑れる気が全くしない。
ただ、こちとら新潟生まれ・新潟育ち。簡単には転ばないぜ!と息巻く割に、ものすご〜く慎重な滑り出しw
しかし、面白いもので少しずつ慣れてくる。子供用の狭めのリンクでゆっくり、しっかりと。そして、気付けばそこそこ滑れる様になっている自分がいた。
「楽しいかも!」
まぁ、一回コケたんだけども...

そんなわけで元気ッズは全てクリアで無事終了!なおかつ我が家の帰宅後のルーティンを見直すきっかけにもなり、とても有意義な取り組みになったと思う。そして何より、この年にして何かを始めるって事も悪くないって思った。食わず嫌いがそうである様に、今までの先入観や思い込みで意固地になっているだけの事って結構ある気がする。

「行っておいでよ!」
2回観た妻が言い出した。ボクにも経験がある、2回観に行くってよっぽどの事だ。そして、残念ながら今月で終わる事になってしまった「POP LIFE:The Podcast」では何とスラダン回が開かれた。“役割として”ケチもつけつつ、あのタナソーさんも必見って言ってる。宇野さんも2022年の年間BEST10に入れてる。Now or never!観るなら今だ!

痺れるオープニング。
単なるアニメ化とせず「これから動かします!」という高らかなる“動く漫画”宣言。自らの手で自らの原作を動かす。声優の交代劇で軽く炎上も何せ原作者が監督、これに勝る説得力があるわけがない。一部から不評との声も聞こえる回想とのスイッチングも何が問題と言うのだろう。むしろ、この構成により回想パートは試合パートのブースターとなって炸裂!圧巻の“動”の描写。今まで知らず、感情移入先が無いにも関わらず、ここまで胸が熱くなるのは何故だろう?気付くと目頭が熱くなり、今までにない涙のこぼれ方をしていた。何より「今ここで一丸となってやらなくてどうする!」というチームとしての結束、これが最高だった!熱かった!観に来て良かった!

観た日の夜、「ありがとう。」と奥さんに伝えた。「これは “初めての(人への)SLAM DUNK” なんだよ。」奥さんからそう説明された。SLAM DUNKにこれっぽっちも興味の無い男がここにいた事もあったっけ?本当に良かった。この時を逃さずに🏀
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