Ao

THE FIRST SLAM DUNKのAoのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.7
トラベリングのリアリティから最後の走り書きの描写、当時の原作では知れなかった宮城リョータのエピソードなど、原作ファンからしても目新しさを感じる内容で、本当に観てよかったと思う。
スポーツ漫画において、どうしても出てしまう非現実感を今作品では殆ど感じなかった。全てのセリフやプレーが、アニメーションの試合の中でナチュラルに行われていた。
エピソードと試合描写が交互に描かれる映画構成も、原作で体感した名シーンに新鮮さを与えていた。一度目にしたシーンでありながら、感動せずにはいられなかった。

以下個人的綴-----



スラムダンクは自分がバスケットを始めるきっかけだった。小学校4年生で風邪で学校を休んでいる時に暇すぎて手をつけた。婆ちゃん家にあったものを親父が持って帰ってきたけど、汚れていたし古そうだし興味が持てなかった。渋々トライしてみたら、それがその後数年間を大きく左右する瞬間になっていた。

バスケを始めてから、身長が小さくて悔しい思いを沢山した。それなりに強いチームだったけど、前からプレス掛けられて強豪相手にボールを運べなかったり、ポストにボール入れるのに億劫になって怒られたり。ポイントガードだからこそ感じる色んな悔しい思いが映画ではリアルに描かれていた。

あの時は本気でNo.1ガードになりたいと思っていたしなれると思っていた。毎日バスケノートを書いてメニューを作って、中学生ながらの努力はいっぱいした。けど結果が報われなくて、遂にはレギュラーからも外されてしまった。

それがきっかけになったのか、バスケから距離を置いてしまっていた。けれど今回の映画で何か報われたような気がした。
映画で表現されていた色んなリアリティと自分のこれまでの人生がリンクして、想いが、感情が、込み上げてきた。
大人になって、子供の頃に原点になった作品を通して涙を流す。なんだか自分が許されたような気がした。
Ao

Ao