熊

THE FIRST SLAM DUNKの熊のネタバレレビュー・内容・結末

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

正直かなり微妙だった。

原作が好きで細かいところまで覚えている自分と、スラムダンクに全く触れてない友人とで観に行ったが、自分には原作とのズレや原作と整合しない改変が気になるし、友人は登場人物や関係性がさっぱりわからないまま進んでいくので、対戦相手の山王がどんな相手なのかも、桜木と流川のハイタッチの意味もよくわからず(映画のみでは「勝って喜んでるんだな」以上に汲み取れるものがないと思う)、まあリアルなバスケの試合としては面白かったけど…という感じになった。

井上さんが今描きたい形で今描きたいものを作ったのだと思うけど、それなら別に無理やり山王戦と組み合わせるのでなくて、全く別物として作った方がよかったんじゃないのかなあと個人的には思う。
原作の様々な文脈が集約された山王戦と、原作と整合しない要素が所々ある新しいストーリーを組み合わせると、不自然な箇所ができてしまうし、追加したストーリーのピークと山王戦のピークもずれてしまって微妙だと思った。

あと、リアルさに拘っているためか、漫画だとコミカルなシーンのときにコミカルなシーンらしい描き方になるが、映画だと常にリアルなトーンでそれをするので、本当にちょっと変なことをしている感じになっているように感じた。ゴリの暴力が本当に暴力でちょっと引いてしまったし、長机上で「ヤマオーはオレが倒す!」と宣言した後にゴリにお尻を殴られて背中から地面に落ちた桜木を見て、これでも背中やったのでは?と思った。

また、宮城家は父親と長男のソータを相次いで亡くしているが、ソータ自身は亡くなった時点で12才のようなので、父親が亡くなった際に、12才以下の子どもに母親のケアをさせる発想は、もちろん現実にないとは決して言わないけど、母親をかなり無力な存在として描いていると感じた(描くことが問題ではなく、その描き方に無自覚であることが問題だと感じた)。
熊