Lila

THE FIRST SLAM DUNKのLilaのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.2
遂にアメリカ上陸!再投稿します。2022年12月年末の公開時に日本の映画館で観ていたので、今回は英語吹替で観てきました。私の回は残念ながら客席には私のみ…完全貸切でした。

宣伝もマーケもないのは勿論、今バスケのシーズンでもないんですよね。AIR/エアが公開されてた、NBA のMarch Madnessの時期に当てられてたら、八村塁旋風も含めて、多方面の相乗効果を期待できたかもしれない。いろんな事情あるのでしょうけども、日本作品の海外進出戦略は弱いというより、そもそも戦略が「ない」雰囲気が1番悔しいなあ。配給元これでいいのかな。

さておき、2回目に観て思ったのは、この作品は時代や記憶に籠る熱が大事なコンテンツであり、初見に観た時の感動をもう一回味わう事は難しいということ。キャラクターに生命が吹き込まれた感動が、私の高揚に繋がっていたんだと実感しました。

ちなみに英語吹替はとても良かったです。技術もあり、適材適役、セリフもキャラクターに沿ってました。(吹替が酷い作品って多いんですよね)

ただ、セリフの「日本一」は直訳しなくて良かったかなーと。大切な局面で「彼は最高の選手だ”in Japan”」みたいな感じでin Japanが多発しまくりで邪魔でした。最高だって伝わればいいので。

また、日本語だとスラダンのトーンや男性的な言い方のデフォルメでかっこよく見えたりしますが、英語になるとスラダントーンは加味できず、武士感も薄れて軽くなっちゃう現象です。

アニメーションは漫画っぽく、ストーリーはかなり薄めで、キャラクター勝負であるからこそ影響を感じます。これが、日本と海外の壁なのかもしれない。日本語の言語に含有される意味、ニュアンス、文化、性格、キャラクター、などの分厚さをなかなか英語で再現しきれません。

あとアメリカでは、体力無限おばけ系の主役達が流行るので、試合中結構早いタイミングで全員体力切れになり、ゼーゼーしながら、体力的にしんどそうな局面を助け合って乗り越えるってドラマは、アメリカ人に刺さらないかもなあーと思ったりします。真横の会場では、トムクルーズが崖から飛んでたりもするのでww ここ最近ハリウッド作品を見続けていたのもあり、記憶よりもヨレヨレしてる印象で、スピードももう少しほしいところ。

そんな事思ったりしても、無音や静けさの扱い方が日本のよさですね。日本の作品は足し算より、引き算で魅力が増します。侘び寂びの美しさ。

何より初回に観た感動は忘れられません。その思いと経験を大事にするようにします。井上雄彦先生が自ら作った伝説に立ち向かい、時を超えて挑戦する大革命映画!最高でした。キャラクターが立ち過ぎてて、一昔前の無骨な大きい男たちが、とにかくかっこいい。楽しかった、わくわくした!このキャラクター達が生きていないなんて俄かに信じ難いレベル!

リョータの過去とか、分かりやすすぎる描写とか、ストーリーとか、浅くて「??」の点は確かにありますが、それをも忘れさせる試合映像やオープニングとラストカットは、アバターの映像改革とはまた違った、一種の革命映像です。

スラダン世代じゃない人たちにも、海外の人にも刺さってる事を祈ります!
Lila

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