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まわり道 4K レストア版のKANAのレビュー・感想・評価

まわり道 4K レストア版(1975年製作の映画)
3.0

ヴェンダースによるロードムービー3部作の2作目。

書けないことに行き詰まった作家志望の青年が母親に勧められて旅に出る。
道中様々な人と出会い、道連れにする・・

これはヴェンダース自身の内省どまりなのでは?
観る側にとってはなんとも退屈な表現の羅列。
それぞれの人物の心証が今ひとつピンとこず、モヤモヤしたまま脈絡のないダイアローグが続く。

『都会のアリス』の主人公には他者と出会い接することによって気づきと成長があったけれど、本作の主人公ヴィルヘルムにはそれがない。
むしろ他者との摩擦をより遠ざけてるように思えた。
捉えどころのない詩的なモノローグからも最後までアイデンティティがよくわからず。
まぁそれも人生のまわり道ということなのか。

ただ、出会った人物の1人の男性は元ナチスであり、ドイツが自国の汚点と向き合うことの象徴としてるようにもとれた。
前作と違って鮮やかカラーなのに、終始陰鬱なムードなのはそういう観点もあるのかな…。
ライン川を臨む山道を散歩するシーンの風景はカラーで映えて美しい。

風景以外の見どころは、これがデビュー作である14歳のナスターシャ・キンスキー。
劇中ほぼずっと出てる。
もう少し後のコケティッシュさを知ってるとまだまだ物足りない感じだけど、男を誘惑するような深遠で物欲しげな眼差しはすでに存在。
くちびるも好き。
ヴェンダースがディスコで直接スカウトし、家を訪問したら怪優クラウス・キンスキーのお家で驚いたとのこと笑
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