アニマル泉

アメリカの友人 4K レストア版のアニマル泉のレビュー・感想・評価

4.4
ヴェンダースが憧れの監督や仲間の監督たちを出演させた異色作。ニコラス・レイ、サミュエル・フラー、ダニエル・シュミット、ジャン・ユスターシュ。よくもまぁ集めたものだ。シネフィルの面目躍如である。原作はパトリシア・ハイスミスで「太陽がいっぱい」と同じトム・リプレー(デニス・ホッパー)の連作である。
ハンブルグとパリとニューヨークが舞台になる。常に動き回る映画だ。ヴェンダースは断片の作家だ。それぞれの場面が完結せずに断片化する。これは「ロード・ムービー三部作」でも本作でも変わらない。ロビー・ミューラーの撮影が冴えている。路面が濡れたハンブルグの街並みや路地がいい。カラー撮影でオレンジ色のワーゲンがいい。建物をフルサイズで撮るのがいい。
「階段」の映画だ。殺しの場面は階段だ。ダニエル・シュミットがヨナタン(ブルーノ・ガンツ)に撃たれるエスカレーター、サミュエル・フラーが転がり落ちる階段。あるいは「高さ」だ。地下から足を掴んで引きずり落とす。走る列車から転落させる。
本作は丸と四角のイメージで溢れていれる。「丸」は首をしめる首輪、カウボーイハット、シャボン玉、アイパッチ。「四角」は額縁。トムが頻繁に興じるビリヤードはまさに丸と四角だ。
トンネルなどの縦構図が効いている。
列車はヴェンダースの十八番だ。
海辺を滑走する救急車とオレンジのワーゲンがいい。そして爆発。ラストはニコラス・レイ。
カラービスタ。
アニマル泉

アニマル泉