骨折り損

アステロイド・シティの骨折り損のレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
4.0
かわいいぃいい〜(ダイアン津田痰うがい)

もう見終わる前から好きになりたくなる映画なんだよなぁ。この映画のあらゆるグッズ買いたくなるもん。そんなデザインの魅力、世界観の魅力を映画にぎゅっと閉じ込められるって改めてとんでもない才能だ。

なんだかんだウェス・アンダーソン作品は公開されれば必ず見に行くんだが、前作『フレンチ・ディスパッチ』はハマらなかった。その前の『犬ヶ島』が好き過ぎて忘れていたが、そういえばウェス・アンダーソンって普通に退屈な映画もあったなぁと思い出し今作の期待値は低かった。

しかし!!
過度な期待をしていなかったからか、今作はシンプルに楽しむことができた!めっちゃ笑ったし、監督の好きなところがたくさん見られて満足。もともとルックももちろん好きだが、それ以上にシュールな間を上手く使った笑いが大好きなので、今作はその笑いがわかりやすく盛り込まれていてよかった。監督のシンメトリーな構図って、お洒落過ぎてシュールさを越して画として成立し過ぎている場合が多々あると思っていて、その配分が多い映画はあんまりハマれないのかもしれない。でも今作はちゃんとキャラクターたちがいい意味でバカっぽくてキュートに見えていたから、笑いやすくて好きだった。

日本の劇場でウェス作品を見ると、お洒落がアイデンティティですみたいな人達が黙って画面を見ているが、この人の映画ってそういう映画だっけっていつもふと考えてしまう。もっとしょうもなくて、シュールな笑いをバンバン取りにくる映画だからキャッキャ笑いながら見てもいいんじゃねと少し思う。特に日本だとウェス・アンダーソンのビジュアルがお洒落ピーポーに分かりやすく刺さるのか、アート性ばっかり取り上げられがちだけど、肩肘張らずにみんなでくだらねーって笑えるところが魅力だからお洒落映画なんでしょって敬遠してるウェス映画を知らない人にも広めたい。

可愛いだけじゃなく、詩的な情緒もふんだんに感じられた今作、これまでのウェス映画を見て躊躇している人がいれば、是非この映画はお薦めしたい。
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