KnightsofOdessa

アステロイド・シティのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
2.0
["ウェスっぽさ"の自縄自縛?] 40点

2023年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ウェス・アンダーソン長編11作目。本作品は謎の入れ子構造になっており、ブライアン・クランストン演じる"ホスト"が進行する番組の形式で現実世界が語られ、そこでエドワード・ノートン演じる劇作家の書いた劇が、エイドリアン・ブロディ演じる舞台監督指揮下に上演されている。入れ子構造は現実世界を50年代的なモノクロTV風に、上演されている劇「アステロイド・シティ」をレトロフューチャー的なカラーで描き分けている。一応の主人公は戦場カメラマンで四児の父オーギーで、妻を失った直後の彼は遭難しかかってようやく到着したアステロイド・シティで女優ミッジに出会う云々。演じる/観る(目撃する=戦場カメラマン/宇宙人)といった関係性が入れ子構造の中で繰り返された先に"僕には未だに芝居が分からない"→"問題ない、語り続けろ"という言葉が登場する。察するに、ウェス・アンダーソンも訳分かんなくなってるんだろう。巷ではウェス・アンダーソンっぽい写真集!とか色々と"ウェスっぽさ"というものが明らかな紛い物なのにチヤホヤされているせいで、ウェス・アンダーソン本人が"ウェスっぽさ"から抜け出したくても抜け出せず、自縄自縛に苦しんでいるのではないか、と思うなどした。そんな彼が小手先で作った"ウェスっぽい"映画ということで、総じてどうでもいい作品だった。
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