ノラネコの呑んで観るシネマ

アステロイド・シティのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.6
ウェス・アンダーソン監督の箱庭的世界、今回の舞台は1950年代のアメリカ西部。
隕石衝突で出来たクレーターを観光名所とする街、アステロイド・シティに集った人々を描く舞台劇と、その制作の裏話を描くドキュメンタリーの二重構造。
常々「まるで演劇みたい」と言われる書割的な世界観を、メタ構造とすることで本当にステージに封じ込めてしまったのが特徴。
ミニマムな街にはUFOが出現し、スカヨハ演じるモンローちっくな映画女優、サイエンス賞に参加する子どもたち、問題を抱えた家族など様々な人々が来訪し、近くの砂漠では核実験が繰り返されている。
まあ要するに、この時代の演劇スタイルを使った、風刺的人間模様。
宇宙人は可愛いけど、例によって話そのものはあんまり面白くない。
ストーリーではなく、あくまでも作家の独特のテリングを楽しむ映画なのだろうが、本作の場合は凝った構造があまり上手く機能しておらず、ドキュメンタリー部分がかえってノイズになってしまっている印象。
毎回言ってるけど、この人の特質が一番生きるのはアニメーションだろうな。