狂ったストーリーの傍ら、キューブリックもびっくりな狂気じみた構図が展開される。一点透視にこだわり柱は必ず垂直に、消失点は狂いなく画面の中央に配置、可愛らしい世界観に時々挟まれる毒はウェス・アンダーソンの異常性みたいなものの現れなのかもしれない、そしてそれこそが我々ファンを魅了する。
ウェス・アンダーソン"みたいな"撮影手法とパステルカラーの配置を2時間弱やり遂げるのがウェス・アンダーソン作品の凄み。画面全部にピントを合わせリアリティをぼかすことにより、本作は映画というよりも後期ルネサンス絵画を断続的に見ているような気持ちにさせてくれる。
