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アステロイド・シティのmanamiのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
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オープニングからウェスアンダーソン調全開、列車のカラーリングが既にウェス、可愛らしい。その後もずっと、アステロイドシティに集まる人々のファッションも、部屋の内装も、おままごとや絵本のようなファンタジー感にうっとりしちゃうよ。
個性的な登場人物たちがこれでもかってほど出てくるのも、監督の得意技ね。「プリンセス」って呼ばれてキレる三つ子。アクの強い有名女優。銃の破片が後頭部に当たったことのある戦場カメラマン。
異能の天才を自称する少年や、何度も失敗するのにちっとも懲りない挑戦少年など、ジュニア宇宙科学賞受賞の天才児たちが「人名つなげてくゲーム」を始める。唐突に北条時行も出てくるが、天才すぎてまったく盛り上がらず。ゲームも楽しめないなんて、天才も大変ね。
屋外で宇宙についての授業(っていうか各々が自分のやってきたことを披露しちゃうから、発表会って方が近いな)をするシーンが好き。また今度ねって止められたのに結局歌っちゃって、しかも止めてた先生が率先して踊り出しちゃって。みんな可愛いな〜。
そのシーンでの「つながってるのになかなか映らなかったテレビ」も、めっちゃくちゃ可愛い!何あのエメラルドグリーン可愛い。画面小さすぎて実用性ないけど、インテリアとして欲しいぐらい可愛い。
寝起きパジャマの三つ子たちとおじいちゃんとの、お葬式もいいね。変なシーンなのに妙にほのぼのほんわかする。
ティルダ・スウィントン、エイドリアン・ブロディ、エドワード・ノートン、ウィレム・デフォーと、ウェス作品常連俳優多数。他にも大物キャストが何名も出演してて、これも彼の作品ならでは。
さらに直線的に切り取る構図、執拗なまでの左右対称、きっちり向かい合っての会話、そこから交互アップへのスイッチ、水平に動いて人物を追いかけるカメラワーク、「お約束」の連続にもなんだか安心する。
セリフも独特のリズムで、「時は全てを癒す、違うな。バンソウコウ程度だ」「眠らなければ起きることはできない」が特に印象に残る。
土地の自販機とか、アンガールズ感漂う宇宙人のビジュアル(フォルム)とか動きとか、ヘンテコ要素もバッチリ。劇中劇もついにここまで来たかってくらい劇中劇のレベルを超えてるし、監督が過去作でやってきたことの総復習みたい。

14(1724)
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