だーじりんほらー

アステロイド・シティのだーじりんほらーのネタバレレビュー・内容・結末

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

死の受け入れ方のすゝめ

 物語の最後、主人公の一家は車に乗って砂漠の彼方へ行ってしまう。私たちの前から消えてしまったが、これは死んだと言うわけではない。この二つは全く違う。
私たちの想像力と演者や監督から滲み出した何かによって、主人公らは血肉を得て私たちが知らないところで生き続けている。私たちは命を吹き込むことができるのだ。本来平面的な舞台劇である『アステロイドシティ』に鮮やかな色と開放的な空間を与えたように。

 これは死にも同じようなことが言える。死んだ人が星になったと捉えることは彼らに永遠の命を与える。そしてそう願うことは決して無駄ではない。死んだ母親が星(スター)になったと信じた三人の娘の願いは叶い、母親は映画スターとして別の次元で歩んでいる。

"You can't wake up if you don't fall asleep."
私は都合の良い夢をして、進んでいける。

 ウェス・アンダーソンの死に対する考え方が好きだ。天国なんかよりもずっとロマンチックで心休まる感じがする。クリエイターと喪失に耐えられない人を救う。

 死んだ人(を演じた人)と話せるってすごくいい設定だと思う。全てはこのためにあったのか?
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